『ウンム・アーザルのキッチン』
菅瀬晶子さんの著作『ウンム・アーザルのキッチン』(福音館書店)が、2025年度ボローニャ・ブックフェアの「BRAW Amazing Bookshelf 2025 – Sustainability: 17 Goals for a Better Future」 に選ばれました。
持続可能性がテーマとなりえる応募作品の中から150冊が選出されています。
ボローニャ・ブックフェア『ウンム・アーザルのキッチン』紹介サイト
『ウンム・アーザルのキッチン』のあとがきで菅瀬さんは「たくましい彼女の物語から、紛争地と呼ばれる場所で生きる人びとに思いを馳せていただければ、さいわいです」と書いています。
先日大阪の国立民族学博物館に行った時に、世界各地から集められた工夫や知恵や楽しさが混在している膨大なものを見ている時に、菅瀬さんのあとがきが痛いほど胸に迫ってきました。自分たちからは遠くはなれた場所にいる、言葉も文化も習慣も異なる人たちはもちろん、とても近くにいて同じような生活をしている人たちにも、それぞれに大切なものや誇りがあり膨大な歴史を背景に生きているということを、毎日どんな小さなことからでも想像して自覚していくことを積み上げるしかないのだと思いました。小さな変化は差別や暴力をとめるには即効性がなかったり目に見える成果が現れるものではないけれど、そういう土台から言葉や行動が生まれて世界をより良い方に変化させられると信じています。
ガザ地区への攻撃とヨルダン川西岸地区で続く暴力に強く反対します。
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民族学博物館では現在、みんぱく創立50周年記念 企画展「点と線の美学——アラビア書道の軌跡」が開催中です。美しい作品と、道具、実際に書いている映像などに魅入られました。
展示では菅瀬さんの思いがこめられた「パレスチナ地名刺繍タペストリー」を見ることができます。